YOASOBIの「夜に駆ける」、Ayaseの「幽霊東京」に見るSNSマーケティング成功の鍵
どうも、銀杏でございます。
今回は、今話題沸騰中のYOASOBIさんの「夜に駆ける」、そしてその曲を作ったアーティスト・ボカロPのAyaseさんの「幽霊東京」がSNSにてものすごい速度で拡散されています。
(以下敬称略)
この拡散の速さと強さには、曲のすばらしさに加えて、ある工夫が込められていると見ました。
この記事ではYOASOBIとAyaseの拡散力にSNSマーケティングという観点から迫ります。
SNSマーケティングってなんだ
SNSマーケティングとは、文字通りSNS上でのマーケティングのことです。
SNSマーケティングという概念は、下の記事で紹介している本で得ました。
www.ittyou-ichou-iroiroblog.work
ざっくり説明すると、SNSマーケティングを考えるときには、UGC(User Ganarated Contents)、ユーザーが作ったコンテンツ(ブログ、ツイート、ストーリーなど)をいかに創出し、ULSSAS(UGC→Like→Search1→Search2→Action→Spread→Like…という、UGCから始まるサイクル)を回すかということになります。
ULSSASについて軽く説明すると、UGCによって、提供者サイドがコントロール外のユーザーの発信で他のユーザーに情報が伝播し、それを見て気に入った(Like)ユーザーが、SNS上で検索を掛ける(TwitterやFacebookの検索(Search1))。更に詳しく知るために、検索エンジンで検索を掛ける。(Google、Yahoo!など(Search2))そして、購入。(Action)その後、これ良いぞ!という発信(Spread)。次に、その発信を見た人が「良いかも?」と思う(Like)・・・というサイクルのことです。
とってもざっくりなので、もうちょいkrsk(詳しく)って人は、わっしの記事を見るか、その記事にある本を買ってみてください。とても勉強になります。
さて、次に、なぜYOASOBIやAyaseはどんなコンテンツを作っているか紹介します。
YOASOBI、Ayaseは何をしている?
彼らがいま一番ホットな新進気鋭のアーティストだと言えます。
そのコンテンツがこちら。
どちらかといえば「夜に駆ける」がすごく面白いというのがこの大拡散の大元の要因だと言えます。
YOASOBIの夜に駆けるは、第一章とあるように、今までに多分なかったような仕組みになっているんですよね。
実は、「タナトスの誘惑」という小説とリンクしているんです。
↓タナトスの誘惑へ飛ぶリンク↓
https://monogatary.com/story/33826
「突然理想の人が現れたら、ご注意を」というキャッチフレーズから始まる、なんとも奇怪な恋愛短編。
"生に対する欲動──「エロス」に支配される人間と、
死に対する欲動──「タナトス」に支配される人間"
この概念を元に進む話の幕開けは、歌詞とマッチした、彼女からの「さよなら」から始まる。
彼女は、「タナトス」に支配された人間だった。
タナトスに支配された人間は、死神が見える。
「タナトス」に支配された彼女と、その彼女に支配された男。
「夜空に向かって駆けだした。」で締めくくられる物語は、「夜を駆ける」を聞くことにおいて最高のスパイスになること間違いなし。
そう。YOASOBIというプロジェクトは、小説と音楽の融合という新しい市場の開拓をしているんです。
これも話題の理由ですね。
まぁ、何より曲が良いんですけどね。ほんと。
ここまで踏まえて、本題に入ります。
YOASOBIとAyaseのSNSマーケティング戦略
彼らが他と少し違うのは、Twitterでエゴサーチをして、特定の単語を含むツイートをいいねすること、そして、ボーカルオフの音源を上げ、YOUTUBEで「歌ってみた」動画の創出を積極的に行っています。
後者なんかは、割とグレーな感じが多いのですが、Ayaseは公式に認めています。
そして、なんてことなく見える前者。
これが、UGCを創出する燃料となります。
なぜか
もし貴方が好きなアーティストの曲良い!って呟いて、当の本人からいいねを貰ったらどうでしょう。
「え?いいね貰えたんだけど!!」ってなるかなと思います。
そうすると、呟いて興味の熱量を放出したのにもかかわらず、いいねを貰うことによって再びその熱量が戻ります。
その熱量で、更に「ほんとにこの曲いいから!」と呟いてくれるかも。
ここは仮定ですが、1-2割は二度目の宣伝を勝手にしてくれそうじゃないですか?
もし「この曲」と言わなくても、スクリーンショットを添えて「~さん本人からいいね来た!」とすると、他のユーザーは、「誰なんだ?」と興味を持ちそうですよね。
ULSSASのLikeを創出するUGCが増える可能性がぐっと上がる訳です。
更に上手いのが、小説と組み合わせていることによる、二重に楽しめるシステム。
これはYOUTUBEのコメント欄を見ればわかりますが、「タナトスの誘惑」についてのコメントが上位にあります。
Twitterで、「この人誰だ?」→「この曲なんだ?」→「いい曲だ!」→ツイート→繰り返し聞く→コメント欄見る/コメントする→「タナトスの誘惑ってなんだ?」→読む→「すごい!新しい!」→ツイート
UGCを二度生み出す可能性が高いような構造が現時点で出来上がっています。
また、こうした新進気鋭のお洒落なアーティストの認知というのは、早く、そして深く分かっていると恰好いという風潮があり、人気になり始めたばかりで、皆が詳しくなれるチャンスなので、情報をとにかく集めます。
そして古参/わかってるアピールをします。
彼らがまたUGCを創出し、それをみて初見ファンが入ってくる。
更にUGCを創出し続ける機構が今のところ出来上がっています。
彼らがSNSマーケティング的に成功しているという理由が分かったと思います。
要はバズってからが勝負。バズり続け、しっかりと認知されないと、一過性の線香花火のような認知度で終わります。
おわりに
彼らの戦略(かどうかはわかりませんが)によって、
結果、ULSSASのサイクルが回り続け、YOUTUBEでは100万再生、LINEmusicではトップ10入りを果たしています。
ほんの些細なことかもしれませんが、楽ではありません。
地道な作業です。
コンテンツが良くても、ユーザーが見てくれなければ何の意味もありません。
コンテンツの提供側が凝らす工夫をチェックすることで、変わり続ける市場のなかでいかにマーケティングを行っていくのかのヒントを得ることもできます。
みなさんも、色々なものを色眼鏡で見てみてはいかがでしょうか?
ではまた次回。
www.ittyou-ichou-iroiroblog.work